年の瀬記者ノート

歴史伝える戦時下の辻堂 神奈川

【年の瀬記者ノート】歴史伝える戦時下の辻堂 神奈川
【年の瀬記者ノート】歴史伝える戦時下の辻堂 神奈川
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 ■海軍「軍事演習」と「民宿」、後世に

 産経新聞社横浜総局に5月、本社文化部から異動となった。地方記者は30年ぶりで戸惑うばかり。思えば千葉総局木更津通信部時代にも「記者ノート」を書いていた。昭和61年12月28日付で、テーマは「東京湾横断道」。後に川崎と木更津を直結し、「東京湾アクアライン」と呼ばれるが、当時は着工直前で、千葉県政10大ニュースのトップでもあった。今回、横断道の「その後」を追跡リポートしようかと考えたが、せっかくの機会。東京湾とも関連する「歴史」の断片を少々伝えたい。私事に及ぶが、ご容赦を。

 25年前から藤沢市の辻堂海岸近くに住んでいる。この5月、市内在住の絵本作家、かこさとしさんが92歳で死去した。4月には97歳の東大名誉教授、江橋慎四郎さん。75年前の昭和18年10月21日、「秋雨煙る」明治神宮外苑競技場(後の国立競技場)で行われた出陣学徒壮行会において、集まった学徒兵を代表し、「挺身以(もっ)て頑敵を撃滅せん 生等(ら)もとより生還を期せず」との答辞を述べたのが江橋さんだった。

 ◆郷土史家の講演

 総数10万人とも言われる出陣学徒の慰霊碑が新国立競技場の建設場所近くに立っている。10月19日、その前で追悼の献花式が行われた。だが、今回参列した元学徒兵はわずか2人。ともに95歳を超えた。1人が静かに訴えていた。「なるべく後世に伝え、歴史を大事にしてもらいたい」

 11月3日、記者と同じ町内に住み、平成25年に『辻堂歴史物語』を著している郷土史家の櫻井豊さん(81)が、地元の歴史について辻堂市民図書館で講演した。まさに歴史を後世に伝える取り組み。その中で、戦時中の「辻堂海岸での軍事演習」と「民宿」の話が出てきた。若い人たちにはもちろんだが、亡き父にぜひ聞かせたかった。

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