「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記

アドラー心理学で来季は阪神優勝できる?

巨人に勝利してファーム日本一になり、胴上げされる阪神・矢野燿大2軍監督=10月6日、宮崎市のKIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎(撮影・村本聡)
巨人に勝利してファーム日本一になり、胴上げされる阪神・矢野燿大2軍監督=10月6日、宮崎市のKIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎(撮影・村本聡)

 62+23=85。この足し算、カンのいい人ならすぐにピンと来るはずだ。というか、阪神ファンなら、すでに何度か頭の中で足し算しただろう。

 「62」は今季の金本阪神の勝ち数(62勝79敗2分け)。「23」は阪神がFA補強で獲得した西勇輝投手(28)が今季オリックスで残した10勝(13敗)と、中日を退団し他球団との争奪戦の末に獲得したオネルキ・ガルシア投手(29)が今季挙げた13勝(9敗)を足した数字。今季のチーム+(西+ガルシア)=85勝となる。

 3連覇を飾った広島の今季成績は82勝59敗2分け。つまり、来季の阪神が85勝すれば悠々と優勝ラインに手が届く。計算上、14年ぶりのリーグ制覇は確実ということになる。しかも、今季の先発投手陣はメッセンジャーこそ11勝したが、後は岩貞と小野の7勝が目立つぐらいで、藤浪も秋山も期待外れだった。たとえ、彼らが来季も期待通りに投げてくれなくても、23勝の上積みがあるのだから「85勝V」は妄想の類いでも何でもない…はずだ。

 さらに、心強いことに矢野燿大(あきひろ)新監督(50)の采配、選手起用には隠れた参考書があるそうだ。2軍監督に就任してから出合った1冊の本。球団関係者に自ら「目からうろこが落ちたんだ」と語った『アドラー心理学』の本だ。

 オーストリアの心理学者、アルフレッド・アドラーが創始した個人心理学とも呼ばれるもので、考えを平易に解説した『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見一郎、古賀史健著)はベストセラーになっている。

 簡単に教えの一端を書くとこうなる。

 個人をそれ以上分割できない存在であるとし、<人間の生を個人という全体が個人の必要な機能などを使って目的に向かって行動していると考える。人間は相対的にマイナスの状態(劣等感を覚える位置)から相対的にプラスの状態(優越感を覚える位置)を目指して行動していると考える>

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