話の肖像画

日本卓球協会強化本部長・宮崎義仁(59)(1)

Tリーグ開幕の日、会場となった両国国技館前で
 =10月24日、東京都墨田区
Tリーグ開幕の日、会場となった両国国技館前で  =10月24日、東京都墨田区

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■張本や伊藤、中国を破って優勝

〈日本の卓球界は再び黄金期に近づきつつある。若手が急成長し、この12月も日本は中国を負かし2種目で優勝した〉

今年ほど中国選手に勝ったことは近年、記憶にないですね。ワールドツアー上位選手による12月のグランドファイナルで、男子シングルスの張本智和(エリートアカデミー)と、女子ダブルスの伊藤美誠(みま)(スターツ)、早田ひな(日本生命)組がやってくれました。それぞれ中国の強豪を破っての優勝ですから価値があります。

今春の世界選手権(団体戦)で日本男子は準々決勝で苦杯をなめましたが、張本はこれをバネに驚くような強さを見せ、6月の荻村杯ジャパン・オープンで優勝。日本女子は世界選手権(団体戦)決勝で中国に敗れるなか、伊藤だけは中国戦を含め負け知らずで、荻村杯や11月の国際大会でも優勝しています。張本や伊藤は中国に肩を並べつつあると思います。

〈日本が強くなったのは偶然ではない。一つには福原愛さん(Tリーグ理事)の練習法がモデルケースになった〉

今の主な女子選手は、五輪で2度メダルに輝いた福原さんの活躍を見て育った世代です。「愛ちゃんのように強くなりたい」と、福原さんと同じように幼少時からお母さんに指導を受け始めています。世界ランキング(12月現在)3位の石川佳純(かすみ)(全農)、7位の伊藤、9位の平野美宇(日本生命)の3人とも、このケースです。

張本も似ており、中国代表などを経験したご両親が仙台市で卓球教室を開き、早くからレベルの高い指導をしていました。

〈自身も手弁当で強化策を始めた〉

私は日本代表として戦った後、17年前に男子代表監督に就任し、若い年齢層を対象に強化策をとってきました。小学生のナショナルチームも組織し、日本復活を信じ、ボール拾いから笛吹き、体育館や宿の手配などすべて自分でやりました。平野、張本ら有望選手が育ち、平成20年から合宿制のエリートアカデミーで預かったのです。

こうした育成の成果が対中国戦で出始めている、と手応えを感じています。

〈10月にはTリーグが発足した〉

Tリーグはプロアマ混在の卓球の新リーグです。内外のトップ選手が参戦し、日本選手の中でも年間数千万円の高額契約をした人もいます。男女各4チームで構成され、勝ち点制で上位2チームが3月に優勝戦を行います。私が卓球を始めたころと比べると夢のような環境ですね。(聞き手 大家俊夫)

【プロフィル】宮崎義仁

みやざき・よしひと  昭和34年、長崎県生まれ。鎮西学院高、近畿大を経て和歌山相互銀行に入行。1985(昭和60)年の世界卓球選手権(スウェーデン)シングルスで5位入賞。ソウル五輪日本代表。平成13年、日本卓球協会男子代表監督、28年、同協会強化本部長。今年、発足したTリーグ理事に就任。近著は「日本卓球は中国に打ち勝つ」(祥伝社)。

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