妊婦加算、年明け凍結 9カ月で破綻

 妊娠中の女性が医療機関を外来受診した際に請求される「妊婦加算」について、厚生労働省は19日、中央社会保険医療協議会(中医協)に凍結の方針を諮問し、了承された。来年1月から、上乗せ分の医療機関への支払い、妊婦からの徴収も停止する。今年4月から始まった制度は、わずか約9カ月で見直すことになった。

 中医協はこの日、厚労省への答申として、制度への必要な調査・検証が行われないまま凍結が諮問されることは「極めて異例」と指摘。その上で「妊婦加算に対する誤解と不安がある現状で継続することは、当初の加算の意図の実現が十分に期待できない」とし、制度凍結を了承した。

 委員からは制度について「妊婦が納得して支払うという視点に欠けていた」「国民に対する周知の在り方は検討が必要」などの意見が出た。厚労省は今後、有識者会議を設置し、廃止に向けて制度の見直しを検討する。

 妊婦加算は、薬の処方などで特別な配慮が必要なことから「妊婦への丁寧な診療」を目的に導入。妊婦の自己負担(原則3割)は初診で約230円、再診で約110円だった。だが、「妊婦税だ」などの批判が集まり、投薬を伴わないコンタクトレンズの処方にも加算されるなど運用面でも問題視された。

 根本匠(たくみ)厚労相は今月14日、「妊婦が安心できる医療を実現する手段として適当なのか、改めて考える必要がある」として、制度の運用を凍結する方針を表明していた。

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