就職活動の最大の山場といえば、面接。内定を得るためには面接をパスしなければならず、不安を覚える学生は少なくありません。ただ、最近は威圧的な態度をとる面接官は減り、フレンドリーな雰囲気で進められるケースが増えているようです。
面接の質問は、自己PRや志望動機などあらかじめ準備できる質問もありますが、その場で考えないといけない質問も結構あります。素の学生を見たいがために変化球質問を投げる企業は意外と多いのです。今年就活した学生が実際に面接で聞かれたものを紹介します。
「自分を動物に例えてください」は毎年複数の学生から報告されます。突拍子もない質問に思えますが、長所や短所を聞き出すために使われます。自己PRの変化球なので、自己分析ができていればそれなりに答えられます。ただ今年報告があったのは「うちの従業員を動物に例えるとなんですか」(IT企業)。これだと企業研究をしっかりして社風を理解していない場合、うっかり見た目で答えてしまいそうで怖い質問です。
ちなみに、自分を何かに例えさせる質問は他に「家電製品」「文房具」「すしネタ」などのアレンジが報告されました。扱っている製品や業界に関係なく聞かれることがほとんどなので、準備も難しいですね。
次に「私(面接官)を説得してください」というもの。例えば、「私はコーヒーより紅茶派です。私がコーヒーを好きになるように説得してください」(メーカー)。賛成反対に分かれて議論し合うディベートに似ています。説得力を見たいのだと思いますが、慣れていないと難しい。そんな中、「私を当社への就職に反対するお父さんだと思って、説得してください」(サービス業)というものがありました。これを出された女子学生は「実際に志望度が高かったので説得材料はすぐに見つかったけれど、臨場感を出すために敬語を使わずに話すよう要求されたのは本当に困りました」とこぼしていました。
どちらが好きか、その理由を答えさせる例もありました。「桃太郎と浦島太郎、どちらが好きか」(メーカー)という質問を出された学生は、「集団で協力し、何かを成し遂げる点で桃太郎が好きと答えた」ということです。もちろん正解はなく、企業側はトンチを競わせたいわけでもありません。周到に用意された回答より、素の学生を見たいからに他なりません。
平成32年春に卒業を予定する大学生らの就職活動のスタート時期が迫っています。変化球質問への準備は難しいですが、どんな回答であれ堂々と答えたいですね。(キャリタスリサーチ 武井房子)
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