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レーガン氏が1986年2月6日付の書簡で示した対ソ妥結案を踏まえて日本が示した代替案が、米国の政策、ひいては米ソ交渉に影響を与えたことは学術的に論証されてはいるものの、論拠の中心は関係者の証言だったため、それらが今回、一次資料で具体的に裏付けられたことは意義深い。
代替案は無論、当時の外務省スタッフが起案したものだが、首脳同士の信頼関係があったからこそ、外務官僚も日本の立場を率直に示す対案を速やかに立案できたものと思われる。
公開された文書には、米国内で政治的に窮地に立たされたレーガン氏を気遣ったと思われる、86年11月の中曽根氏のメッセージも含まれていた。
小泉純一郎氏とブッシュ氏、安倍晋三氏とトランプ氏も個人的に良好な関係を築いたといわれるが、書簡を通じた中曽根、レーガン両氏の深いやりとりを見ると、このときほど日米首脳が固い信頼関係で結ばれた時期は、後にも先にもなかったのではないかとの感想を抱いた。(瀬川高央・北海道大公共政策学研究センター研究員)