鍼灸、接骨など不正広告が横行 厚労省、年内にも指針作成 

不正広告の例
不正広告の例

 あん摩マッサージ指圧師や鍼灸(しんきゅう)師らが従事する施術所で、法律で認められていない項目を掲示する不正広告が横行していることが分かった。患者への健康被害を防ぐため法で厳しい広告制限があるが、近年は無資格者や施術所間の競争が激化し、不正を生み出している。厚生労働省は広告規制を見直した上で年内にも指針を作成し、適正広告との線引きを明示する。

 接骨院で骨折や捻挫(ねんざ)などの施術に当たる柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師は国家資格で、広告を掲示する場合、その内容は住所や氏名、業務の種類などに限定されている。違反すれば30万円以下の罰金を科す罰則もある。

 柔道整復師法などによると「腰痛、肩こり、骨折」など適応症や効果を示す広告は掲示できない。「交通事故専門」といった記載も同様で、料金の掲示も認められていない。「○○療院」「○○治療所」といった名称は、医療機関と誤認する恐れもあるため、使用することができない。

 民間の健康保険組合などでつくる柔整問題研究会が8月、東京都目黒区にある全145カ所の施術所の広告を調べたところ、適応症の記載が58%、料金表示が26%、「交通事故」取り扱いの記載は66%あった。違法性がなかったのはわずか4カ所で、9項目に違反している施術所もあった。

 不正広告が横行している背景には、マッサージ師などの数が増加したことによる過当競争がある。鍼灸師は平成2年の約12万人から、28年の約23万人へとおよそ2倍に増加。柔整師も同様に規制緩和されたことを受け、同時期にほぼ倍に膨れ上がっている。

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