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12月に入ってクリスマスムードに包まれたベルリン北東部の美しい街、プレンツラウアーベルク。この界隈(かいわい)で90年近く営業を続ける屋台に観光客が行列を作っていた。目当ては、ケチャップとカレー粉で味付けされた名物料理「カレーソーセージ」。順番が回ってくると女性店員に尋ねられた。「店内で食べますか。それとも、持ち帰り?」
ドイツでは、1960年代後半に日本の消費税に当たる現行の付加価値税が導入された当初から、食料品などを対象に軽減税率が採用されている。店内での飲食は19%の標準税率。持ち帰りは7%だ。
ただし、この店ではどちらの税率で購入しても客が支払う金額は同じ。店は課税前の本体価格で店内飲食の方を低く設定している。こうした店は珍しくない。
このため、店内での飲食が増えると店側の実入りは減る。中には、持ち帰りと言いながら店内で食べる客もいる。厳密には税率が違ってくるが、女性店員は肩をすくめた。「客が多いと十分に目が行き届かないけど、仕方ないね」
生活に浸透
日本では来年10月の消費税増税に伴って初めて2つの税率の運用が始まる。店も客も慣れない事態に、店頭での混乱を予想する声も根強い。
「へえ、豆乳は軽減されないんだ」。ベルリンの自然食品店のレジで牛乳と豆乳を差し出すと、男性従業員(47)はレジを打ちながら意外そうに笑った。