トランプ氏が民主党指導部と激しく口論 「壁」建設めぐり

 【ワシントン=加納宏幸】トランプ米大統領は11日、ホワイトハウスで野党・民主党のシューマー上院院内総務、ペロシ下院院内総務と会談し、メキシコ国境への「壁」建設の財源をめぐり激しく口論した。11月に中間選挙の下院選で民主党が勝利してから初の顔合わせはトランプ氏が政府機関の閉鎖を盾にして自らの政策実現を迫る険悪な雰囲気となり、上下両院で多数派が異なる「ねじれ」が生じる来年1月の新議会での対立を予想させた。

 トランプ氏は大統領執務室のソファを記者団が取り巻く中で、「国境を安全にするためなら誇りをもって政府機関を閉鎖する」と断言した。また、不法移民の犯罪を強調して、2016年大統領選からの公約でもある壁建設のため、共和党が提出した財源50億ドル(約5700億円)を含む歳出法案を可決するよう議会側に強く迫った。

 シューマー氏は「壁に浪費しなくても国境の安全は確保できる」と反論し、政府機関の閉鎖を回避するよう求めた。互いに指さしてののしり合い、民主党指導部の「トランプ・シャットダウン(トランプ氏の政府機関閉鎖)だ」との指摘に、トランプ氏が「ペロシ・シャットダウンだ」と反論する場面もあった。

 歳出法案が12月21日までに成立しなければ政府機関は一部閉鎖され、国境警備などを除く国土安全保障省の業務に影響が出る。

 1月の新議会までは上下両院の過半数を共和党が握っているが、上院(100議席)で51議席を持つ共和党が歳出法案を通すには議事妨害(フィリバスター)を阻止するため60議席が必要で、民主党との妥協が不可欠だ。トランプ氏が壁建設のため求める50億ドルと議会側が提示する16億ドルにはなお大きな隔たりがあり、共和党指導部は民主党との合意を探っている。

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