主張

高速炉の開発 国の本気度を前面に出せ

 核燃料サイクルで重要な役割を担う高速炉の開発は、エネルギー資源に乏しい日本にとって不可欠だ。

 廃炉作業中の高速増殖原型炉「もんじゅ」の後継となる高速炉開発について、経済産業省の作業部会が工程表の骨子をまとめた。

 高速炉は、原発の使用済み燃料を再処理して回収したプルトニウムなどを有効利用して発電する次世代原子炉だ。

 核燃料サイクルの推進は、わが国のエネルギー政策の基本方針である。現行の「エネルギー基本計画」に明記されている。

 工程表は今後のウラン需給の分析に照らし、今世紀の半ば頃に、もんじゅより1段階進んだ高速実証炉の運転開始を想定している。さらに進んだ実用炉の出番は、今世紀後半となる可能性を示唆している。

 工程表はこうした展望の下に、今後10年間の開発作業に焦点を合わせた内容だ。当面の5年程度は、民間のイノベーションの活用を通じて競争を促し、さまざまなアイデアを試すステップに充てるなどとしている。

 工程表の骨子全体を通じて、まず気になるのは、高速炉の実用化にかける国の意気込みや情熱が伝わってこない点である。

 多くを民間の電機事業者やメーカーが担い、国は側面支援にとどまるのであれば、高速炉の前途は多難である。

 経産省は、年内に工程表を仕上げることにしているが、国が前面に立って高速炉の実用化を進める積極姿勢を明確に打ち出し、広く説明してもらいたい。それがなければ、高速炉の必要性は、国民に納得される形で伝わりにくい。

 もんじゅは、1兆円もの国費を投入されながら20年以上にわたって、ほとんど稼働しないまま廃炉になった。その敗因は、工学技術よりも、むしろ運営主体の日本原子力研究開発機構などの組織運営のまずさにあった。

 工程表の骨子には、もんじゅの挫折から教訓をくみ上げる文言が見当たらない。反省がないまま原子力機構を主要メンバーとして、再び高速炉開発を目指すのか。

 失敗に学ばないプロジェクトは負の無限ループに陥る。そのことを肝に銘じるべきである。

 高速炉は、将来の日本のエネルギー強靱(きょうじん)化を支える発電炉だ。着実な開発を期待する。