厚生労働省は12日、東京電力福島第1原発事故の収束作業などに従事した50代男性について、甲状腺がんを発症したことは業務との関係があるとして労災認定したと明らかにした。原発事故をめぐる同様の労災認定は6件目で、認定は10日付。
同省によると、男性は原発の協力会社に勤め、平成5年11月~23年3月の約11年間、福島だけでなく複数の原発で放射線業務に携わった。23年3月の原発事故後、原発構内で電気設備の関連工事に従事。被曝線量は、緊急時の基準100ミリシーベルトを超える約108ミリシーベルトだった。
男性は29年6月に甲状腺がんの診断を受けた後、日立労働基準監督署に労災を申請。厚労省の検討会が被曝との因果関係を認め、労基署が労災認定した。厚労省は「医学的、科学的には被曝との関係が厳密に証明されていない」とし、救済を重視しているという。
同省によると、原発事故での労災認定はこれまで、甲状腺がんが1件、白血病が3件、肺がんが1件あった。被曝の労災申請は16件あり、認定が6件、不認定が5件で、残りは調査が続いている。