主張

ハロウィーン逮捕 検挙に勝る防犯はなしだ

 悪いことはできない。必ず報いを受ける。

 それが分かっただけでも、この逮捕には大きな意味がある。暴徒の予備軍は、思い知るべきだろう。検挙に勝る防犯はなしである。

 ハロウィーン直前の東京・渋谷の繁華街で、軽トラックを横転、損壊させたなどとして、警視庁は、暴力行為等処罰法違反の疑いで、20代の男4人を逮捕した。他に外国人を含む11人も書類送検する方針という。

 その傍若無人な狼藉(ろうぜき)ぶりは、繰り返しニュースなどで流された。彼らの姿は、まさに暴徒だった。逮捕後の彼らは「勢いやノリでやってしまった」などと、おおむね容疑を認めているという。

 当時、渋谷には約4万人の人出があり、警視庁は現場周辺を含む約250台の防犯カメラの映像や、スマートフォンなどのカメラで事件の様子を撮影した通行人らにも協力を求めた。これらを精査して関与した15人を特定し、行為が悪質だった4人を逮捕した。

 捜査員らの労を多とするとともに、改めて、防犯カメラ映像の効果に驚く。

 平成最後の大みそかを迎える年末や、2年後の東京五輪でも渋谷などの繁華街では相当の人出が予想される。

 発生から1カ月余の逮捕は、これらの雑踏警備に向けても、「ノリ」で暴徒化することは社会の目が許さないという、強い警告となったはずである。

 防犯カメラ映像の捜査への活用には、かねて「監視社会」「プライバシーの侵害」「検挙には役立っても防犯の役には立たない」といった批判が根強い。

 だが、公の場所で守られるべきプライバシーとは何か。違法行為を犯さない限り、捜査の網にかかることはない。

 また刑法犯の認知件数は減少の傾向にあり、警察庁は平成28年、「市民の防犯活動や、防犯カメラの増加など、犯罪を警戒する地域社会の目が密になった結果」と分析している。

 社会の目を密にすることは、テロ対策にも有効である。人の目に限界がある以上、防犯カメラの増加は望ましい。

 そもそも元来のハロウィーンは秋の収穫を祝い、悪霊を追い払う宗教的行事である。仮装して酒に酔い、徒党を組む騒乱とは無縁のはずである。

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