金融庁は上場企業に役員報酬の決定方法を開示するよう義務付ける。報酬の透明性を高めるのが狙いで、平成31年3月期から適用する。役員報酬をめぐっては日産自動車が前会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)の虚偽記載事件を受けて決定の仕組みの見直しに乗り出しており、金融庁の指針は日産の「報酬委員会」設置を後押しすることになりそうだ。
金融庁が金融商品取引法に関連する内閣府令を年明けにも改正する。31年3月期決算の上場企業は、有価証券報告書に役員報酬の決め方を記載することが必要になる。
現在、上場企業は有価証券報告書に役員報酬の総額と報酬が1億円以上の役員名と金額を記載する義務がある。だが、金額の根拠や決定過程は不透明で投資家から批判が出ていた。
新たなルールでは報酬のうち固定して払う報酬と業績に合わせて増減する報酬の割合、業績連動部分の決め方や根拠となる経営指標などを明記させる。報酬の決め方を開示すれば、投資家らによる監視の目が強まり、ガバナンス(企業統治)の強化につながる。
一方、ゴーン容疑者の逮捕に揺れる日産では、ゴーン容疑者に過度に権力が集中し、暴走を止められなかった反省を踏まえ、今月17日にもガバナンスを再構築するための委員会を設置する。これまではゴーン容疑者が役員報酬の決定権を握り続けてきたが、報酬委員会など客観的で透明性のある手続きによって決定する仕組みを築けるかが焦点の一つになっている。