【ワシントン=黒瀬悦成】米CNNテレビは5日、北朝鮮が北部山岳地帯にある米本土を核攻撃可能な長距離弾道ミサイル用の基地を大幅に拡張していることを示す最新の衛星画像を政策研究機関「ミドルベリー国際問題研究所」から入手したと伝えた。
同研究所の核問題専門家、ジェフリー・ルイス氏らの分析によると、米情報機関が既に存在を確認済みのミサイル基地から約11キロ離れた谷間で、新たなミサイル基地とみられる施設の建設が進められているのが判明した。両基地が別個の施設であるのか、新たな施設が既存の基地に付属するのかは不明としている。
また、一帯では昨年から巨大な地下基地が建設されているとみられ、6月の米朝首脳会談で北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が「非核化」に合意した後の今年8月現在も建設作業が続けられていることが分かったとしている。
ルイス氏は「金正恩氏が非核化の意思に関し何と言おうと、北朝鮮は核ミサイルの生産と配備を続けている」と指摘した。
北朝鮮によるミサイル基地の拡張自体は米朝首脳会談での非核化合意には抵触しないものの、トランプ政権が北朝鮮に求める「完全かつ全面的に検証可能な非核化」への取り組みが具体的な進展を見せていないことを改めて浮き彫りにするものだ。
ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は4日、ワシントン市内での会合で「北朝鮮は先に約束した(非核化への)措置を履行していない」と指摘し、「来年1月または2月」にも実施が見込まれる2度目の米朝首脳会談で非核化措置の実施を確約させる意向を明らかにした。