【大賞】国士舘大学特任教授・百地章氏 「改憲への正念場」一層の精進
正論大賞の受賞、本当に光栄です。物書きの一人として、いつかこのような賞を戴くことが出来ればと、実は密かに思っていました。しかし、今回受賞が決まり、本当に私でも良かったのだろうかと戸惑いながら、歴代受賞者の方々のお名前を見て、感激に浸っています。これまでご支援を戴いた産経新聞社と読者の皆様、さらに「正論」の執筆メンバーとしてご推挙戴いた諸先生、今回ご推薦を下さった皆様方に、心から感謝申し上げます。
「正論」欄で執筆活動を開始したのは平成17年でした。折しも人権擁護法という名の人権蹂躙(じゅうりん)法が制定されようとしており、直ちに反論を開始しました。万一、このような悪法が成立してしまえば、自由社会は根底から崩壊してしまうからです。その後も、わが国の主権と独立を脅かしかねない外国人参政権、英霊とご遺族の心を踏みにじる靖国訴訟、国柄の根幹に関わる女系天皇や女性宮家問題と、難問が次々と生起し、その阻止と解決のために微力ながら必死で言論活動をしてきました。
他方、第1次安倍内閣の誕生と共に、懸案だった憲法改正国民投票法が制定され、憲法改正が漸く現実的な課題となってきました。
更に、第2次安倍内閣の下で改憲がより現実味を帯び、緊急事態条項や自衛隊明記の必要性などについて論ずることが出来るようになりました。憲法改正を志し憲法学者の道を歩み出した者として、まさに正念場の到来であり、現在、渾身の力を投入しています。
このように、正論欄はいつでも書きたい時に書きたいテーマで自由に執筆させて戴くことが出来る、実に有難い表現活動の場です。しかも、月刊誌と違って即応が可能です(勿論、月刊誌には別の役割がありますが)。幸いなことに、タイトルや小見出しを含めて、これまで大きな修正を求められたことはありませんでした。改めて、本欄担当者の皆様に感謝しています。
未解決の問題は山積していますが、今後も政治状況に応じて「適時打」が打てるよう、細心の注意を払っていきたいと思います。
今回の受賞は察するに、これまでのご褒美というよりも、憲法改正を速やかに実現すべく一層奮励努力せよとの、激励の意味が込められているものと推測しています。幸い、元気(前期)高齢者でまだ若いつもりですから、所期の目的達成に向けて、西先生と共に、これからも一層精進したいと決意しています。
【プロフィル】百地章
ももち・あきら 昭和21年、静岡県生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。独フライブルク大学留学。法学博士。専門は憲法学。主な研究テーマは国家と宗教の関係、天皇、防衛、国家緊急権など。愛媛大学法文学部教授、日本大学法学部教授などを歴任し、現在は国士舘大学特任教授、日本大学名誉教授。比較憲法学会名誉理事(元理事長)、憲法学会理事。「民間憲法臨調」事務局長、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」幹事長。著書に『憲法と政教分離』『憲法の常識 常識の憲法』など多数。産経新聞「国民の憲法」起草委員会のメンバーとして、平成25年に正論大賞特別賞を受賞。趣味はジョーク、釣り、園芸。