【ソウル=桜井紀雄】韓国と北朝鮮は30日、鉄道連結に向け、実際に北朝鮮区間に列車を走らせての共同調査を始めた。韓国側調査団28人を乗せ、韓国を出発した列車は軍事境界線を越えて北朝鮮入り。12月17日まで、南北の調査員が共に列車内で寝泊まりしながら線路の状態を確認する。
韓国の鉄道車両が北朝鮮内を走るのは、黄海側の京義(キョンウィ)線の短区間で2007~08年に貨物列車が運行されて以来、10年ぶり。日本海側の東海(トンヘ)線=金剛山(クムガンサン)-豆満江(トゥマンガン)=を走るのは南北分断後、初めて。
「ソウル⇔新義州(シニジュ)」との表示板を掲げ、ソウルを出発した列車は軍事境界線手前の都羅山(トラサン)駅に停車し、式典が開かれた。趙明均(チョミョンギュン)統一相は「一つにつながる鉄道を通じ、南北が共に繁栄し、朝鮮半島の平和も強固になる」と強調した。
列車は、機関車やタンクローリー車、発電車、寝台車、給水車など7両で編成。北朝鮮側の板門(パンムン)駅で北朝鮮の機関車につなぎ替えて新たに3両を連結させた上で、北朝鮮の調査団が乗り込み、本格調査に着手したもようだ。
調査は12月5日まで京義線=開城(ケソン)-新義州=の約400キロで実施後、平壌を経由して東海線に移動し、約800キロで行う。途中移動を含め、走行距離は約2600キロに達し、北朝鮮の主要路線の大半を走破することになる。
列車での調査は当初、8月に計画したものの、在韓国連軍司令部が軍事境界線の通過を許可しなかった経緯がある。列車に使う燃料の北朝鮮への持ち込みは制裁に抵触する恐れがあったが、国連安全保障理事会が最近、制裁の例外として認めた。南北は鉄道連結の着工式の年内実施を目指しているが、制裁との絡みから実際の工事は難しく、セレモニーにとどまる見通し。