川崎「不法占拠」 池上町ルポ 秩序なき世界、広がる混沌

 関西で生まれ、父が労働者として日本鋼管で働きはじめたため、まもなく川崎のこの地に移り住んだと話す。

 昭和1桁の生まれで80代後半。現在は子供、孫らと同居しているという。一帯がJFEスチールの敷地であることへの認識を問うと、「分からない。幼いころには聞いたことがあったかもしれないけど覚えていない」。

 この女性のように、自宅が建てられた土地の所有権について詳しく知らない住民も少なくないようだ。市によると、親が亡くなり、相続の段階で「不法占拠」と気付いて、返還を申し出たケースもあったという。

 店舗を営む男性は「祖父の代からここに住んでいる」と話し、朝鮮半島からの居住の経緯などは、「祖父たちからは何も聞いていない」と語った。