浪速風

今こそ「辛口」が欲しいのに

山本夏彦さんの訃報記事は各紙こぞって「辛口コラムニスト」と書いた。本人は生前、「よせやい、カレーじゃあるまいし」と苦笑していたという。コラムにピリッとしたスパイスは欠かせないから、ほめ言葉である。コラムニストやコメンテーターとして活躍した勝谷誠彦(かつや・まさひこ)さんも「辛口の」と評された。

▶週刊文春の記者だった平成元年、「女子高生コンクリート詰め殺人事件」で加害少年を実名報道して議論を呼んだ。我々も少年法の壁には悩む。当時の花田紀凱(かずよし)編集長がよく決断したが、「獣(けだもの)に人権はない」と言い切ったのには驚いた。以降、歯に衣着せぬ筆鋒、舌鋒で、鋭く世相を斬りまくった。

▶関西では「たかじんのそこまで言って委員会」(読売テレビ)でおなじみだった。朝日新聞批判などは小欄も共感した。酒が命を縮めて、57歳はあまりに若い。辛口コラムが年輪を重ねてマイルドな味になってはつまらないが、そうはなるまい。もっと読みたかった。