赤木春恵さん宅に弔問続々 長女の泉さんが感謝

女優の赤木春恵さん
女優の赤木春恵さん

 ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」のしゅうとめ役などで親しまれ、29日、94歳で亡くなった女優の赤木春恵さん。「日本のお母さん」の訃報に、東京都府中市の自宅には、同じ事務所に所属する女優の大空真弓さん(78)や俳優の川崎麻世さん(55)らが駆けつけ、別れを惜しんだ。長女の野杁(のいり)泉さん(61)は「幼いころは自分以外が『お母さん』と呼ぶことに抵抗があったけれど、今はありがたいと思っています」と気丈に話した。

 自宅前に集まった報道陣に対し、泉さんは「心不全で亡くなったというものの、老衰ですよね。亡くなる1カ月前から、日に日に階段を下りていくように弱々しくなっていた」と最後の日々を振り返った。10月31日には、赤木さんが「みっちゃん(亡くなった友人で女優の森光子さん)が来たの」と話していたという。泉さんは「今頃、(2人で)楽しく話しているかも。女優らしくない、おおらかで優しい人だった。今は『お母さん』と呼んでくれた皆さんに感謝しています」と時折声を震わせながら語った。

 赤木さんと50年以上の付き合いという大空さんは「素晴らしい方でした。愚痴や悪口を言うのを聞いたことがなかった」と話す。周囲への気配りを絶やさず、終戦後に苦労した経験からか、いつも「おなか空いていない?」「食べてるの?」と後輩を気に掛けていたという。川崎さんは「ママ(赤木さん)の楽屋前はいつも温かい家庭の香りがした。よく共演者が集まって一緒にご飯を食べていた」と懐かしんだ。

 後輩で女優の音無美紀子さん(68)も、長女で女優の村井麻友美さん(36)と弔問に訪れた。音無さんは最後の対面を果たした後、「あまりにも美しかった。きれいに化粧してもらって声が届きそう」と涙をこぼした。

 ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」のしゅうとめ役など、意地悪な役が少なくなかった赤木さんだが、生前は音無さんに「本当は嫌なのよ。こんな意地悪を言う人が実際にいるかしら。でも、私がやるとヒロインが立つから」と話していたという。「旅番組などでは、(出会った人に)『赤木さんって、すごくいい人なんですね』といわれたこともある。ママはギャップが良いの」と思い出を振り返った。

会員限定記事会員サービス詳細