【ニューヨーク=上塚真由】米紙ウォールストリート・ジャーナルは27日付の社説で、日産自動車の前代表取締役会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)が逮捕された事件について「ゴーン氏は不可解な宗教裁判に耐えている」とし、日本の司法制度のあり方を批判した。
社説では「かつて救世主とされた会長は空港で逮捕され、起訴されることなく何日も勾留が続き、弁護士の立ち会いもなく検察官の取り調べを受けている。メディアに情報がリークされる中、会長職からも解雇された」と指摘。その上で「共産党の中国で起きた出来事か? いや資本主義の日本の話だ」と皮肉った。
同紙は、最大で20日間の勾留が認められ、再逮捕も可能な日本の司法制度は、暴力団の取り調べにはふさわしいが、犯罪歴のない国際企業の幹部には不適切だとも主張した。
事件をめぐる日産自動車の対応も問題視し、有価証券報告書に巨額報酬を過少申告した容疑について、同社が長年把握していなかったのは不自然と強調。事件の背景には、日産自動車と、筆頭株主のフランス大手ルノーとの摩擦があったとの見方を示した。社説は容疑者に弁明する機会が与えられなければ、「日産による奇襲攻撃は日本の経済界の汚点となるだろう」と締めくくった。