「このような今日の世界を直視しながらも、なお私たちは人類の未来の繁栄をひらきうる知恵の存在を信じる」。今、読み直しても格調が高い。昭和45(1970)年大阪万博の、基本理念の内容の一部である。「このような今日の世界」とは、技術文明の負の面や地域の摩擦。
▶かかわったのは国立民族学博物館初代館長の故梅棹忠夫さんや、作家の故小松左京さんら。当時の日本を代表する面々だ。討論しながら文章を磨き上げた。未来を信じた70年万博は共感を呼び、半年で6400万人を超える入場者があった。小欄も子供のころ行って胸をときめかせた。
▶大阪で2025年の万博が開かれることになった。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。今は地球温暖化をはじめ、世界はより困難な問題に直面している。しかし未来の繁栄を開く知恵の存在を信じたい。開催計画を練りに練って、世界中の大人も子供も胸をときめかせられる万博を実現してほしい。