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日本フィギュア界にニューヒロインが誕生した。11月9~11日に広島県立総合体育館で行われたグランプリ(GP)シリーズ第4戦、NHK杯の女子を制した紀平梨花(関大KFSC)だ。今大会がGPデビュー戦でいきなりの優勝は、浅田真央さんらかつての名選手たちも成し遂げられなかった快挙だった。16歳の可能性は無限大だ。
大逆転での頂点だったことが注目度をさらに押し上げた。
紀平の武器はなんと言ってもトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)。元世界女王でバンクーバー五輪銀メダルの浅田真央さんにあこがれて練習を始めたという大技を、シニア本格参戦のシーズンでいきなりショートプログラム(SP)で1本、フリーでは単発とコンビネーションで計2本組み込んでいる。
「完璧な演技を目指して、3Aを決められたらいいな」。8日の前日会見で、紀平は笑顔でこう語っていた。実際、会見前に行われた午前と午後の公式練習では17回試みて、14回がきれいな着氷と成功率は8割を超えていた。
しかし、迎えた本番ではほろ苦いデビューとなってしまった。
公式練習での高い成功率の裏で、3回転半が失敗するとき、母が撮影してくれた動画で「踏み切りが早い」ことが判明した。不安要素が集中力の欠如へとつながり、SPではまさかの転倒。得点源を失って5位と大きく出遅れたのだ。
「並の選手ならこのままフリーでも崩れてしまう。あそこで立て直せたことに、一流になれる素質を感じた」。ある関係者がこう感嘆の言葉を口にしたフリー。紀平は一夜にして見違えるようなジャンプを見せたのだった。