科学の街から伝統文化 茨城・つくば市で「つづら」制作

「伝統文化を継承する人が一人でも出てほしい」と話す高橋諭さん=茨城県つくば市研究学園
「伝統文化を継承する人が一人でも出てほしい」と話す高橋諭さん=茨城県つくば市研究学園

 竹で編んだふた付きの籠「つづら」。着物を収納したり、嫁入り道具にしたりと、かつては庶民に欠かせない家財道具だったが、今では国内で製造している業者も数少ない。茨城県つくば市研究学園で「高橋つづら店」を経営する高橋諭(さとし)さん(40)は「つくばというと『科学』のイメージが強いが、つづらのような伝統文化との対比もおもしろい」と伝統の手仕事に汗を流している。

 高橋さんは同県取手市出身で、東京都内で働くサラリーマンだった。インテリアに興味があり、休日には北欧や日本の伝統家具の店などを訪れていた。

 30歳の頃、長女の出産祝いにつづらを買おうと、江戸時代から続く都内のつづら店を訪れた。つづらを手にした瞬間、「これはいいな」と思った。店主に跡継ぎがないことや、つづらを作る店が国内で少なくなっていると聞き、「自分が受け継いで日本の伝統文化を守りたい」と考えるようになった。

 サラリーマンのかたわら、週末には店主の下に通うようになり、平成27年4月には中学、高校時代を過ごしたつくば市に自分の店を出した。

 主な材料となる竹は、多くが同市産。竹は1ミリ以下の薄さに剥(は)ぎ、四つ目編みで四角く籠を編む。籠の内側には和紙を1枚、外側には和紙を2重にし、柿渋をまぜたフノリで貼る。最後に、カシューナッツを原料とする樹脂塗料「カシュー漆」を塗り完成させる。軽い上に防湿性や通気性が高く、防虫・防腐効果があり、独特の光沢感もある。

会員限定記事会員サービス詳細