主張

漁業法の改正 「企業参入」をためらうな

 日本の水産業の未来を拓(ひら)く第一歩としたい。

 水産業の活性化をめざす漁業法改正案が国会で審議入りした。

 養殖への企業参入の促進や資源管理の強化を図り、経営体質の抜本的改善を図る。漁業者や漁業協同組合が持つ漁業権制度の見直しを伴う約70年ぶりの大改正となる。

 養殖を含む日本の漁獲量は、ピークだった昭和59年の1282万トンから431万トン(平成28年)に減少した。世界の漁獲量は、日本とは対照的に、右肩あがりのカーブを描く。

 彼我の違いは、科学的資源管理と経営の合理化の有無に起因する。欧米は環境や社会の変化に応じて漁獲総量を規制し、禁漁期間も設けて資源回復に努めてきた。日本では漁業者の自主管理に任され、過剰な漁獲によって資源の減少を招いた。中韓両国や台湾などの乱獲が拍車をかけた。

 改正案は、漁獲可能量(TAC)による管理を徹底し、船舶などを対象に個別の漁獲割り当て(IQ)を設ける。資源回復や漁業の持続可能性を高めることが期待される。

 焦点は、沿岸水域で一定期間、排他的に漁業を営むことができる漁業権の見直しだ。これにより、適切に管理、利用されていない漁場を対象に企業の養殖などへの新規参入を容易にする。漁業権にメスを入れたことは評価できる。

 漁業者の高齢化、後継者難が進み、疲弊した漁村が少なくない。企業参入がこれに追い打ちをかけるとの懸念は当たらない。沿岸漁業の経営体質の改善を図らなければ漁村の疲弊は一層進み、存亡の淵から抜け出せまい。

 漁業者が集まって会社を組織し加工や流通販売まで手がける例も現れている。水産業を強くするため、企業の知恵や資本をいかに導入していくかが問われている。

 すでに農業分野では、企業の参入によってバイオテクノロジーの活用などで成長産業としての魅力が増し、農業を志す若い世代が生まれている。水産業も変わらなければ生き残れない。

 法改正後も、漁業権制度の撤廃の検討や、現在8魚種しかないTAC対象魚種の拡大など、さらなる改革が求められる。企業参入に当たっては、さまざまな魚で成り立つ日本の食文化を守るため、多様な魚種の提供が続けられるよう留意してもらいたい。