アルバム「サラヴァサラヴァ!」 高橋幸宏、40年前の自分とセッション

ボーカルのみを新録音したソロデビューアルバムを当時と同じ「高橋ユキヒロ」名義で発売した
ボーカルのみを新録音したソロデビューアルバムを当時と同じ「高橋ユキヒロ」名義で発売した

 ■ボーカルのみ再録音

 元「イエロー・マジック・オーケストラ」(YMO)のドラマーとして知られ、シンガー・ソングライターとしても活躍する高橋幸宏(66)の新譜「サラヴァサラヴァ!」が発売された。同アルバムは40年前のソロデビューアルバム「サラヴァ!」をボーカルのみ新録音。「40年前の自分とセッションして、ようやく完成した」と高橋は笑う。(兼松康)

 「歌をやり直したい思いはずっとあった」

 高橋はそう打ち明ける。アルバムは、高橋のソロデビューと同年に結成されたYMOで一緒になった坂本龍一が共同プロデュースと編曲を手がけ、電子ピアノなどでも参加。ソロでの歌唱には同じくYMOの細野晴臣の影響があったというが、「音程も良くないし、歌い方が何も確立されていない。いろいろ気になっていた」と明かす。

 一方で細野(ベース)や山下達郎(コーラス)、元「サディスティック・ミカ・バンド」の加藤和彦(ギター)、高中正義(同)らが参加した演奏を「改めてすごいと思った」という。演奏など当時の録音が良好な状態で発見されたことでボーカル新録音のプロジェクトが始動した。

 当時、坂本と弦や管楽器のアレンジを全面的に相談し、サウンドを構築していった。坂本には「(ブラジルのギタリスト)ジョアン・ジルベルトの『エスターテ』のような弦(の音)を入れてほしい」と要求したことを鮮明に覚えているという。当時、ニューミュージックの前夜ともいえる時代の空気があったが、「そういう世界じゃないものにしたかった」という明確な意図があった。シャンソンやレゲエなどさまざまな味わいを取り入れた曲があり、当時の高橋と参加ミュージシャンの熱量がこもった一枚に仕上がった。

 新録音の狙いについて、「もっと完璧なボーカルを作ることができたかもしれないが、今の僕の感じ、ボーカルスタイルにこだわった」という。「昔の歌は無理やりで、青臭い。今の声の方がむしろ若く感じる。だけど、こんなに歌いにくいメロディーだったのかと思った」と苦笑する。

 発売当時の評価は決して芳しくなかった。「プロは評価してくれたけど、これはミュージシャンのアルバムではない、ともいわれた」と振り返る。アルバムが評価され始めたのは、YMOの大ヒットの後、2枚目のアルバム「音楽殺人」がヒットしてから。「それでも『これがニューウエーブ(ロックの新しいジャンル)の人間が作ったアルバムか』と戸惑う人も多かった」と笑う。

 「ずっと未完成という思いがあった。怖いものなしの40年前の自分と完成させることができた」

 アルバムの再現ライブを24日の東京国際フォーラムホールCで開催する。わずか1500人規模のホールとあって、チケットはあっという間に完売。「アルバムの曲以外もなるべく当時の空気感でやりたい」と力を込めた。まさにお宝の一夜となりそうだ。

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