習近平氏とフィリピン大統領が会談、資源探査を協議か

 【シンガポール=吉村英輝】中国の習近平国家主席は20日、フィリピンを公式訪問し、首都マニラのマラカニアン宮殿(大統領府)で、ドゥテルテ大統領と首脳会談を行った。両国は南シナ海の領有権問題を抱えるが、会談では同海での共同資源探査などを協議し、対話による問題解決を確認する見通し。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」での協力を通じた関係強化でも合意するとみられる。

 フィリピン政府によると、中国の国家主席が首脳会談のためにフィリピンを訪れたのは、2005年の胡錦濤氏以来13年ぶり。習氏は15年、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するため、マニラを訪問した。

 両政府は会談終了後、共同プレス声明を発表する。フィリピンメディアが報じた中国側の声明草案には、南シナ海における石油・天然ガス田などの共同資源探査について、「両国の主権や海洋権益に影響を与えない」との文言が盛り込まれている。

 ただ、開発海域はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)や領海内が想定される。ドゥテルテ政権は自国の取り分を6割以上とする確約を取り付けたい意向だが、フィリピン国内には対中警戒から一切の合意に反対する声も根強い。

 ドゥテルテ氏は、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所が中国の南シナ海の主権主張を全面否定した裁定を「棚上げ」し、見返りに経済協力を取り付けるなど、対中融和姿勢を維持している。

会員限定記事会員サービス詳細