環球異見・続々と米国境に迫る移民集団

ホンジュラス紙「宇宙を目指すしかないのか」

 ホンジュラスを中心とする中米諸国から米国を目指す移民集団が、続々と国境に到着している。トランプ米大統領は移民集団の動きを「米国への侵略」として、国境地帯に軍隊を派遣して力づくで不法入境を防ぐ構えだ。米紙はジレンマに陥る隣国メキシコの窮状を憂い、ホンジュラス紙はやり場のない憤りを吐露した。独紙は自国の経験を踏まえ、移民に関する国際枠組みを構築することの重要性を訴えた。

ロサンゼルス・タイムズ(米国) 国民の不満が募るメキシコ

 移民の集団「キャラバン」をめぐり、13日付の米紙ロサンゼルス・タイムズは「キャラバンはメキシコを困惑させている」との見出しで、強制的な措置を取らず、人道的対応を続けるメキシコの国内で、移民への不満が募り始めている状況を伝えている。

 「(移民を)歓迎するムードはより温かくなっているが、すべてがそうではない」とする記事は、移民が通過したメキシコ湾岸ベラクルス州の知事の言葉を紹介。「州内に長期間にわたり移民が滞在し、路上で物ごいをしている。社会的にゆゆしき問題だ」と、移民支援を当然とする論調への異論を語らせている。

 記事は知事の言葉を取っかかりに、メキシコが人権問題と、移民阻止を強く求めるトランプ米大統領との間でジレンマに陥っている状況、「人道主義」の陰で表に現れにくい国民の不満に目を向ける。米国からの圧力を受けてグアテマラとの国境警備を強化し、不法移民の強制送還に力を入れてきたペニャニエト大統領について、記事は「(国民に)不人気の政権にはキャラバンを阻止する決定的行動を取る力がない」と指摘。12月1日の政権交代を前にレームダック(死に体)化している状況を示唆する。

 一方、ロペスオブラドール次期大統領は移民に労働ビザを付与し、中米諸国に対する支援策を主張しているが、記事は同政策への支持率が50・7%、反対が42・1%という世論調査を紹介。「(国民の間で)それほど盛り上がっていない」とみる。さらに「当局が移民を王様のように扱い、食事や水、医療を与えるのは不公平だ。メキシコには他にも貧しい人がたくさんいる。なぜ同じことをメキシコ国民にしないのか」と訴える市民の声を取り上げつつ、「中間選挙が終わってトランプ氏が移民のことを忘れるよう、メキシコ当局は願っている」(カスタネダ元外相)と本音を推察している。(ロサンゼルス 住井亨介)

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