サンゴ礁を救おう、静岡大の挑戦(上)世界初、白化現象の仕組み解明

 「褐虫藻は、正常な環境下では、サンゴの中で1日に1回は分裂する。サンゴの中で、褐虫藻がいっぱいになると、体内バランスをとるため、サンゴはダメージを受けている褐虫藻をできるだけ選んで外に出す能力を持っていることもわかってきました」(カサレト教授)

 だが、海水の高温が長く続くと、話は違ってくる。サンゴとサンゴに共生している褐虫藻が大きなストレスを受けてしまうという。

 「光が強かったり、海水が停滞したりすると、海水温が上がってしまう。少しの時間なら、問題はない。でも、30度~32度が、2~3週間、1カ月になると、褐虫藻の光合成機能が低下する。さらに、異常な形態の褐虫藻が増加、正常な褐虫藻が減少し、白化が起きてしまう。問題はストレスの強さと高水温の継続時間なのです」(カサレト教授)。サンゴは、褐虫藻から栄養(有機物=エサ)を得ているため、褐虫藻が少ない状況=白化が半年ほど続くと、栄養不足に陥り、死に至るという。

 ただし、白化したからといって、サンゴは死んだわけではない。これまでは、白化はサンゴにとって回復しない「死の病」とされてきたが、白化は回復することが世界の多くの研究で明らかになりつつある。

 今年は、サンゴの白化がほとんど見られず、沖縄では、白化したサンゴもかなり正常に戻ったという。なぜか。大きな台風が発生し、西日本を中心に被害をもたらしたが、台風の影響で、海水がかき回され、水温が30度を超えることがなく、サンゴにとっては適温だったことが原因だ。サンゴ内に残った正常な褐虫藻は通常の水温に戻るまで耐えると、光合成により細胞分裂し、白化から回復することができたわけだ。

 「研究では、32度の海水温がしばらく続き、サンゴから褐虫藻の70~75%がなくなると、サンゴは白くみえてくる。サンゴの表面積1平方センチあたり200万のうち150万程度がサンゴ体内で消失した状態です。その白化したサンゴを調べると、1平方センチに正常な褐虫藻が50万とか60万とか残っていることが分かった。通常な水温に戻り、褐虫藻が光合成により細胞分裂すれば、倍の120万になる。これにより、褐虫藻からサンゴに栄養が供給され、サンゴも元気になる」(カサレト教授)

 ■サンゴ礁を救おう、静岡大の挑戦(下)本格化する再生プロジェクトに続く

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