サンゴ礁を救おう、静岡大の挑戦(上)世界初、白化現象の仕組み解明

サンゴ礁を救おう、静岡大の挑戦(上)世界初、白化現象の仕組み解明
サンゴ礁を救おう、静岡大の挑戦(上)世界初、白化現象の仕組み解明
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 国際サンゴ礁年にあたる今年(2018年)、静岡大学の研究チームがサンゴに致命的な病とされてきた白化現象のメカニズムを世界で初めてほぼ特定した。白化は、サンゴ自身が高い海水温から身を守るための防衛戦略だったことを突き止めたのだ。研究チームは今後、危機に直面する海の熱帯林サンゴ礁を再生させるプロジェクトを本格化させる。(勅使川原豊)

 「サンゴは、どうやって生きているのか。高水温や強い紫外線下でどんな反応をしているのか。サンゴに関しては、こうした本質的な問題や実態がほとんど分からなかった。これまでは、観察やエコロジー的な迫り方が多く、現象だけを見て判断することが多かった。その代表が、サンゴの白化現象です。これまでの常識は、海水温が高くなって、サンゴの内部で共生している植物プラントンの褐虫藻(かっちゅうそう)が外に逃げ出して白化するというもので、まだそうした見方が主流です。果たして、本当に逃げ出しているのか。私たちのエダコモンサンゴ(Montipora digitatato)とハナガサミドリイシ(Acropora nasuta)を用いた研究の結果、実は外に出るのは極めて少なく、褐虫藻の多くはサンゴの体内で減少していることが分かったのです」

 世界の専門家らの常識を疑い、地道な研究で白化のメカニズムを解明してきたのが、静岡大学の鈴木款(よしみ)特任教授とカサレト・ベアトリス・エステラ教授らの研究グループだ。鈴木教授らは2005年から、三菱商事の財政的な支援と社員ボランティアらの協力により、サンゴの白化現象を科学的な実験などで解明する研究を続けてきた。その結果、常識を覆す世界的な新事実を次々に突き止めてきた。

 これまで、白化現象は褐虫藻が高い海水温の影響から、外に逃げ出すことによって、サンゴの骨格の白い色が見えて白化するとみられてきた。サンゴも色はあるが、主な色は褐虫藻が持つ色素(植物色素)が反映し、サンゴのきれいな色を生み出しているからだ。

 そもそも、サンゴには、表面積1平方センチに100~150万匹という膨大な量の褐虫藻が存在する。鈴木教授らの研究チームは、海水温をサンゴにとって適温な28度と、高温の32度という条件のもと、褐虫藻だけが持つ色素(ペリジニン)と褐虫藻の細胞数をサンゴの体内とサンゴの周りの海水で調べた。すると、外に出たのは、どの条件でも全体の0・05%~0・1%程度と極めて少ないことが分かったのだ。