中央大の有川太郎教授(津波工学)は現地調査の結果から「沿岸の地滑りは海底につながっている可能性がある。場所によっては幅約1キロ、長さ数キロにわたって発生したかもしれない」と話す。
日本でも可能性
地滑りによる津波は、日本でも被害をもたらしてきた。江戸時代の寛政4(1792)年には雲仙・普賢岳(長崎県)の噴火に伴う山崩れが津波を引き起こし、約1万5千人が犠牲となった。
また、産業技術総合研究所などによると、明和8(1771)年に先島諸島(沖縄県)で約1万2千人の溺死者を出した「明和の大津波」も、南西諸島海溝沿いの斜面で起きた大規模な海底地滑りによる可能性が高いとされる。
東北大の今村文彦教授(津波工学)は「頻度は低いが日本でも起きる可能性がある。非常に早く到達し、津波警報も発しにくい」と指摘。「海底の勾配が急だったり、河川からの堆積物があったりする場所などで起きやすい。避難施設を整備するといった対策を取るべきだ」と話す。(科学部 小野晋史)