現地を調査した東京大の清田隆准教授(地盤工学)は「世界的にも珍しい。液状化は人を殺さないと思っていただけに、かなりショックな現象だ」と指摘する。
原因について清田氏は、地下水の上昇が続いて液状化が止まらなかった可能性を挙げる。被災地の地下には地下水の圧力が周囲より高い地層があり、普段は粘土層が蓋をする形で水の上昇を抑えているが、地震で粘土層が壊れて隙間が生じ、地下水の上昇が続いたとの推定だ。
こうした現象は日本でも起きた例はないといい、対策は手つかずで、詳しい研究はこれからだ。
崩れやすい地形
一方、パルの沿岸部では地震直後に津波が市街地を襲った。浸水は深いところで3~4メートルに達し、多くの住民がのみ込まれた。
一般に津波は東日本大震災のように、海域の断層が動いて海底が上下に変動することで起きる。だが今回は沿岸や海底で地滑りが発生し、崩れ落ちた大量の土砂によって海底が盛り上がるなどして、津波を引き起こしたとする説が有力だ。
地滑りは沿岸の少なくとも5カ所で大規模な痕跡が見つかった。付近は幅約8キロの細長い湾で、水深約700メートルの海底に向かって急な斜面が続いており、崩れやすい地形という。