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9月下旬にインドネシア中部のスラウェシ島を襲った大地震は、死者・行方不明者が推定で数千人に達した。液状化現象による地盤の大規模な崩壊や地滑りによる津波の被害が甚大で、世界でも例のない災害として日本の専門家も注目している。
地下水で地盤流動
今回の地震は陸域が震源で、島を走る活断層が動いたことで起きた。米地質調査所などによると、地震の規模はマグニチュード(M)7・5で、断層周辺では最大で日本の震度6強~7に当たる揺れに見舞われたとみられる。地元当局によると、死者は確認されただけで二千数百人に達した。
被害が特に大きかったのは、震源から南へ約80キロ離れた人口30万人以上の主要都市パル付近だ。液状化により少なくとも3カ所で広範囲にわたって地盤が崩壊し、多数の犠牲者が出た。
液状化とは地下水を多く含む地盤が地震の揺れで液体のように流動化する現象だ。東日本大震災や9月の北海道の地震でも住宅が傾くなどしたが、物的被害が中心だった。
ところがパルでは地盤が大規模に崩れ、ゆるやかな傾斜地を流れ下った。地盤は場所によっては幅約1キロ、長さ約3キロにもわたって流動。住宅は流されながら倒壊したり、流れ着いた場所で他の建物に押し潰されたりして、約5千人が生き埋めになったともいわれる。