大学最前線 この人に聞く

産学で未来を創る人材養成を-拙速な新卒一括採用見直しに異論あり 土屋恵一郎・明治大学学長

【大学最前線 この人に聞く】産学で未来を創る人材養成を-拙速な新卒一括採用見直しに異論あり 土屋恵一郎・明治大学学長
【大学最前線 この人に聞く】産学で未来を創る人材養成を-拙速な新卒一括採用見直しに異論あり 土屋恵一郎・明治大学学長
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 経団連の中西宏明会長による「指針撤廃宣言」を機に一挙に見直し機運が高まった大学新卒生に対する就活ルール。将来を担う人材、ひいては今後の日本社会のあり方を左右するだけに注目が集まったこの論議について大学側はどう考えているのだろうか。日本私立大学団体連合会就職問題委員会委員長を務める土屋恵一郎・明治大学長に忌憚のない見解を披露してもらった。(編集委員 関厚夫)

求められるのは「守られる就活ルール」

 〈就活ルールについては先月29日、経団連や大学側も参加した関係省庁連絡会議で2021年春卒生については「3年生時の3月に会社説明会解禁、4年生時の6月に面接解禁」という16年度以来のルールが維持されることになった〉

 --この結果についてどう評価しますか

 「公表された文書によると、現在の大学1年生にあたる22年卒についても来年度以降に改めて検討するものの、『現行の就職・採用活動日程を変更する必要が生ずる可能性は高くないであろうという認識を共有した』とされています。基本的に現行のルールを維持するという、われわれ大学関係者の主張がほぼ受け入れられたと感じています。

 ただ今後は企業によってそのルールが守られるかどうかが一番大きな問題になります。このため、政府・企業・大学の三者が時間をかけて『守られるルールづくり』を協議してゆく必要があります」

 --現行の就活ルールにはすでに「形骸化」を指摘する声もありますが

 「その見解については異論があります。文部科学省の調査データをみますと、学生たちの就職活動も、外資系など一部を除いた企業の採用活動も、就活ルールを目安にしています。また、経団連の会員をはじめ多くの企業が『やはり就活にはルールが必要』という意見だと聞いています」

新卒一括採用は「幹」 通年採用は「若葉」

 --ルール見直し論議のなかではわが国の伝統といえる新卒一括採用や欧米に多い通年採用についてもテーマになりました

 「若年層の失業率を考えると、欧米に比べて日本は明らかに低いといえます。その理由の一つは新卒一括採用です。現代社会ではこのシステムがセーフティーネット的な役割を果たしています。その代替案を深く議論することなしに放棄してもよいものなのでしょうか。