話の肖像画

建築デザイナー カール・ベンクス(76)(1)

自宅「双鶴庵(そうかくあん)」の前で =新潟県十日町市の竹所集落
自宅「双鶴庵(そうかくあん)」の前で =新潟県十日町市の竹所集落

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■古民家は「宝石の原石」

〈地域に尽くした団体や個人をたたえる総務省の平成28年度「ふるさとづくり大賞」の内閣総理大臣賞をクリスティーナ夫人とともに受賞した。古民家の再生を通じ、過疎が進む新潟県十日町市の竹所(たけところ)集落などに活力をもたらした功績が評価された〉

自分が好きでやっていることで、賞をいただいたのは大変ありがたい。外国人の受賞は初めてだそうです。

古くから残っている建物は、ものがいい。すきま風が入るといった欠点は今の材料で直せるし、断熱材や床暖房もあります。田舎スタイルにでも、モダンなスタイルにでも再生できます。再生した家に住むのは楽しく、化学製品をあまり使わなければ健康的にもいい。

いま古民家を新たに造ろうと思ってもできなかったり、大変なお金がかかったりする。古い建物を壊すのは経済的にも意味がありません。古民家は「宝石の原石」。壊さないで何とかならないかと思ってしまうのですが、現実にはなかなか難しい。

〈国内で再生した古民家は50軒を超えた。28年4月には移住体験施設である市営のシェアハウスもオープン。活力を取り戻した竹所集落は「奇跡の村」とも呼ばれる〉

昔は38軒あったという竹所集落は、私が移り住んだ頃には9軒だけになっていました。私はここで8軒の建物を作り、住人が増えました。小さい子供の世帯もできて、平均年齢がすごく下がった。やっぱり集落には人が住まないと駄目です。

仕事は何とかなりますよ。農業をしたいという人もいるし、光回線も通じているので、インターネットを使えば会社に毎日行かなくても仕事はできます。東京などとのアクセスもそんなに悪くはない。冬も道路はきちんと除雪され、きれいになる。玄関前の雪かきは健康に役立ちます。

〈「古い家のない町は、思い出のない人間と同じです」。日本画家の巨匠、東山魁夷(かいい)が残したこの言葉に深く共鳴する〉