村上春樹さん37年ぶりの記者会見 冒頭あいさつ

 他のテストも準備せずに受けて、問いも読まない。答案用紙の裏に、自分の書きたいことをぎっしり書いて出したら、点をくれました。卒論も、参考文献なんか1冊も書かずに、1週間で原稿用紙100枚をでっち上げで書いたら、(早大で授業を持っていた演劇研究者)印南高一さんがAプラスの評価をくれ、「君はものを書く道に進んだ方が良い」とアドバイスしてくれました。僕は当時「この人、ぼけてるな(笑)」と思ったけれど、後になって感謝しています。

 当時の早稲田大、今は知りませんが、ちゃらんぽらんというか、わりに自由な気風があって、それが僕の気風に合っていましたね。

 僕はかれこれ40年近く小説家としてものを書いてきましたが、生原稿や書簡、関連記事ですとかがいっぱいたまっていまして、うちにも事務所にも置ききれない。僕は子供がいないので、それらがバラバラになったり、散逸したら困ると思っていました。

 今回、僕の母校がこういう場所を作り、アーカイブの管理をしていただけることは、とてもありがたいことです。そういう施設ができて、日本人でも外国人でも、僕の作品を研究したい人が来てくれるなら、それに勝る喜びはありません。それがお互いの国の文化交流のきっかけになればと思います。