村上春樹さん37年ぶりの記者会見 冒頭あいさつ

村上春樹さん37年ぶりの記者会見 冒頭あいさつ
村上春樹さん37年ぶりの記者会見 冒頭あいさつ
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 作家の村上春樹さん(69)が4日、東京都新宿区の早稲田大学で、同校への資料の寄贈に関する記者会見に出席した。村上さんが国内で記者会見に応じるのは37年ぶりという。早大は資料を活用して、文学に関する国際的研究センター構想「村上ライブラリー」(仮称)を進める。村上さんの冒頭のあいさつは以下の通り。

 最初は「村上春樹記念館」にしようと思いましたが、まだ死んでいないので正式名称はありません(笑)。そういう施設を立ち上げることになりました。

 僕は一応、(早大の)文学部の演劇科を出ていますが、あんまり大学に出ていた記憶がないんです。ストライキとかゴタゴタが続いて、授業があんまりなかったし、出席日数がなくてもレポートを出せば単位をくれた時代でした。

 僕は学生結婚しちゃって、(在学)途中から仕事(ジャズ喫茶の経営)を始めて、授業に出る余裕もなかった。でも、7年かけて卒業させてくれたんで、早稲田は寛容な学校だったんだな、と思います。

 当時の話ですが、フランス文学に安堂信也さんという、翻訳でも有名な方がいまして、彼のラシーヌ(17世紀の劇作家)の講義を取っていました。授業には出ませんでしたが、出ないと卒業できない。授業に出られない事情を説明したら、「じゃあ、君の店に一度行ってみよう」ということで、(ジャズ喫茶のあった東京の)国分寺に来てくれた。で、店を見て、「君もいろいろ大変だなあ」って、スッと単位をくれた。いい人でしたね。ラシーヌなんて、1行も読んだことなかったけど。

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