「万博が来れば、大阪のベイエリア周辺の付加価値は上がる。ホテルの増設も検討したい」
こう語るのは、大阪湾の人工島・咲洲(さきしま=大阪市住之江区)のコスモスクエア地区で、塩漬けとなっていた市有地計4・4ヘクタールを約72億円で市から買い取った大阪市の不動産会社の担当者。海に面した広大な土地には今後、マンションやホテル、スポーツ施設などを整備する予定だ。「市中心部に比べて安い。万博誘致が成功すれば周囲のインフラ整備が一気に進み、一帯の活性化にもつながる」と、期待値は高い。
咲洲の北西にあるのが、2025年国際博覧会(万博)の会場予定地。大阪府市が誘致に取り組む統合型リゾート施設(IR)建設地に予定されている人工島の夢洲(ゆめしま=同市此花区)だ。
約2800万人の来場者を見込む万博誘致が成功すれば、地下鉄「大阪メトロ」中央線の延伸など、周辺の交通インフラ整備は加速的に進むとされている。日本総研によると、平成17年開催の愛知万博の経済効果は1・6兆円。より人口が多く、インバウンド(訪日外国人客)が好調な大阪ではさらなる効果が期待でき、政府は大阪万博の経済効果を1・9兆円と試算する。
立地評価研究所の若崎周所長によると、大阪市中心部の土地価格は1坪数千万円のところもあるが、咲洲周辺のベイエリアは数十万円ほど。すでに万博やIR誘致を見越してベイエリアのマンションに投資する動きもあるといい、熱い視線が注がれている。
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埋め立て造成地や港湾施設跡地を活用した臨海部の開発は、昭和50~60年代から日本各地で活発化。東京都の東京臨海副都心や横浜市の横浜みなとみらい21、神戸市のポートアイランドなど、各地のベイエリアでは核となる企業などの進出に合わせ、住宅や商業、文化学術施設などが一体となって整備され、都市の「顔」を創出してきた。