【石平のChina Watch】日中首脳会談で得した中国(1/2ページ) - 産経ニュース

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石平のChina Watch

日中首脳会談で得した中国

 先月下旬の安倍晋三首相の中国訪問で、より多くの得点をあげたのは中国の方だ。

 まず、金融危機時に互いの通貨を融通し合う通貨スワップ協定に関して、金融危機発生の可能性が高いのは中国の方だから、両国間で合意された協定の再開は当然、いざというとき、中国が日本に助けてもらえる意味が大きい。

 さらに、日中間で確認した「第三国での経済協力」は事実上、中国が提唱する「一帯一路構想」に沿ったものである。タイでのスマートシティー開発など52件の事業協力に関する日中企業間の覚書の締結が発表されたが、日本政府と日本企業はこれで、中国主導の「一帯一路」に深く関わることとなった。

 周知のように、習近平政権肝煎りの「一帯一路構想」は今、欧州連合(EU)諸国からもアジア諸国からも反発され、四面楚歌(そか)の状況だから、日本政府のバックアップで日本企業がこれに参加してくることは、中国にとってまさに干天の慈雨である。

 10月27日付の人民日報によると、安倍首相は習近平国家主席との会談で「一帯一路は潜在力のある構想だ」と、習主席が望むところの、一帯一路を評価する発言までを行ったという。

 中国が手に入れた成果は別にもある。米中貿易戦争の勃発以来、中国国内では経済の減速が顕著となり、企業経営者や一般国民の間で沈んだムードが広がっている。こうした中で、日本の首相が北京を訪れ、「協調」を語り、救いの手を差し伸べたこと自体、中国政府にとって国民の失望感を払拭するための好材料となり、中国経済を延命させるためのカンフル剤にもなろう。

 日中首脳会談の翌日、中国国内の大小の新聞は一斉に、安倍首相訪中のニュースを1面で大きく掲載した。今回の安倍首相訪中で、「自分たちが大々的に宣伝できるほどの成果を手に入れた」と習政権が認識していることがこれでよく分かるだろう。

 とにかく安倍首相の訪中は中国側にとっては良いことずくめの感であるが、それに対し、日本側はどのような外交上の成果をあげたのか。