深谷市が「マイナス入札」実施 体育館の敷地売却、落札なら全国初

 深谷市は30日、昭和59年3月末で廃校になった旧市立中瀬小学校(同市中瀬)の体育館敷地約1500平方メートルについて、体育館の解体と敷地の用途を住宅に限定することを条件にマイナス入札を実施すると発表した。マイナス入札は施設解体費の見積額が土地評価額を上回ったため、市が差額分を支払い、業者負担を軽減することで応札を促す。市によると、県内では初めての試みで、実際にマイナス落札が実現すると、全国でも初になるという。(石井豊)

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 旧中瀬小体育館は昭和54年に建築。廃校後も地元の体育施設として利用されたが、平成22年12月に閉鎖。市は体育館と敷地を27年6月と29年7月の2回、一般競争入札で約1780万円の予定価格で売却しようとしたが、応札者が現れず、不調に終わっていた。

 今回は落札者が体育館を解体した上、敷地の用途を専用住宅、もしくは共同住宅に限定する制限付き一般競争入札に変更した。差額分として市が負担する予定価格はマイナス約1340万円。落札額がマイナスの場合は本契約は市議会の議決が必要となり、マイナス額によって落札者に支払う市の負担金は軽減する。落札額がプラスになった場合は一般的な売買契約になるという。市によると、体育館の敷地の用途を住宅に限定することで、市の人口増と税収増が見込めるという。専用住宅なら6世帯分の区画が確保でき、10年間の固定資産税と市民税を試算すると、約1700万円の税収増になるとみている。

 小島進市長はマイナス入札について、「今後は人口が減り、公共施設の適正配置の中で市の余剰地が増えると想定されている。行政は意外と危機感を持っていないが、民間出身の市長として使わない部分は1年でも早く売却して税収につなげたい。5年、10年何もやらないわけにはいかない」と話し、今後も検討していく考えを示した。

 入札の募集要領は30日から12月13日まで配布。申込期間は同6~13日。入札日は同26日。問い合わせは、市公共施設改革推進室(電)048・568・5009。

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