国保への税金繰り入れ解消を 財務省が提案 医療費増大の要因

 財務省は30日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会を開き、各市町村が国民健康保険(国保)の赤字を補填(ほてん)する名目で毎年計2500億~3500億円の税金を繰り入れている点を問題視し、4月に国保の運営主体が市町村から都道府県に移管されたことを機に、「速やかに解消すべきだ」と提案した。

 国保の加入者は定年後の高齢者や非正規雇用者など低所得者が多数を占めており、多くの市町村で国保の赤字体質が続いた。そのため、徴収する保険料が高額になり過ぎないよう市町村の判断で税金を投入。財務省によると、平成28年度も2526億円が赤字の補填に使われていた。

 ただ、税金を投入することで徴収する保険料は市町村によって差が生じるほか「受益と負担のバランスが見えにくく、医療費が増大する背景の一つとなっていた」(財務省)という。

 そこで国は4月から国保の運営主体を都道府県に移管。市町村ごとの格差を是正するとともに、事務の効率化など広域化のメリットが生まれることを期待した。財源不足を補うため国は年間3400億円を支出するなど、市町村が税金を投じなくても良い環境も整えている。

 しかし、市町村間の格差是正は保険料の引き上げにもつながることから、慎重な都道府県も少なくない。

 国は、医療費が高額になりがちで数も過剰となっている救急や集中治療向けの「高度急性期」「急性期」の病床を都道府県主導で減らし、リハビリなどに取り組む「回復期」の病床を増やすことで、医療・介護費用の抑制を目指している。

 ただ、地元医師会への配慮などから37年度の目標病床数に対して1%程度しか進んでおらず、財務省は都道府県の権限強化の必要性も提言した。