野党第一党の党首である枝野氏が首相の方針に反発するのは当然だが、与党の公明党からも慎重な反応が飛び出した。山口那津男代表(66)は同日、「国会が議論の土俵であるという原則を踏まえ、現場でよく議論を重ねてほしい」と記者団に述べるにとどめ、前のめりな首相との距離感をにじませた。
公明党は「平和と福祉を追及する大衆政党」との理念が原点にあり、首相が目指す憲法9条改正には支持母体の創価学会を中心に抵抗感が強い。特に自民党との大きな溝になるのは、戦力不保持を定義した9条2項の扱いだ。
自民党が3月、憲法9条1、2項を維持したまま自衛隊の存在を明記する改憲案を取りまとめた。現行の9条の条文は維持して「9条の2」を新設し、自衛隊の存在を書き込む内容。党内には、石破茂元幹事長(61)ら9条2項の削除論も根強く残るが、首相は「加憲」という考えを持つ公明党が賛成しやすい案を採用した。
しかし、山口氏は9月30日の党大会で「9条改正が緊急になされるべきだとは必ずしも言えない」と強調。自衛隊明記の改憲案でも改憲議論を拙速に進めないようクギを刺した。