さらに、協議会が目指しているのは神戸ビーフを提供する飲食店の登録制だ。
協議会は登録店にはブロンズ像などを配布して神戸ビーフの取扱店として保証しており、国内外の登録店は10年間で31店から212店に増えた。協議会は「登録店ならば安心して神戸ビーフを味わえる」と太鼓判を押し、ホームページなどでもPRする。
東京五輪の特需見込む?
一見すると協議会の取り組みは順調そのものだが、協議会は「本物の神戸ビーフを知ってもらうための発信がまだまだ十分ではない」とする。「ブランドが一人歩きしており、神戸ビーフの意味が一般客にまで浸透していない」という。
協議会が懸念するのが、外国人観光客(インバウンド)からの人気にあやかろうと、三宮地区を中心に「神戸ビーフ」の看板を掲げる店が急増している状況だ。
インバウンドの増加を背景に、神戸ビーフ関係者が「異常」と口をそろえるほど価格が高騰。今年の1キロあたりの枝肉相場は4700円程度で、10年前の約1・8倍。昨年からだけでも千円以上値上がりし、1頭200万円を超えるケースも珍しくない。卸売業者によると、最近では関東からの購買要望が強いといい、「東京五輪前の需要を見込んで、一部の業者が神戸ビーフを買い占めて冷凍している」という噂もまことしやかにささやかれる。
価格高騰を受け、協議会に登録するステーキ店などは値上げを余儀なくされているが、一方で新たな店が破格の値段で「神戸ビーフ」を提供している場合もあり、登録店の不満に拍車がかかっているという。