メルケル独首相、2021年秋での引退を表明 12月の党首選も出馬せず

 【ベルリン=宮下日出男】ドイツのメルケル首相は29日、2021年秋までの任期限りで引退する意向を表明した。政権内の混乱や相次ぐ地方選挙の敗北を受けた判断。05年以降、13年間にわたってドイツのかじを取り、欧州政治に大きな影響を与えてきたメルケル氏の後継者選びをめぐる議論が加速する。

 メルケル氏は29日、記者会見し、21年の次回総選挙で首相候補としても、議員としても立候補しない意向を明らかにした。首相職は任期満了まで続けるが、自身が率いる保守系政党、キリスト教民主同盟(CDU)が12月の党大会で行う2年に1度の党首選挙にも出馬しないとした。メルケル氏は00年以降、党首を18年間務めてきた。

 メルケル氏は記者会見で、今回の判断に関し「党と国民のため個人的にどのような貢献ができるか考えた。新たな一章を開くときだ」と語った。

 ドイツでは28日、西部ヘッセン州の州議会選挙が行われ、CDUは第1党の座を維持したが、得票率は27%で13年の前回選挙から約11ポイント減り、過去約半世紀で最低水準に低迷した。メルケル氏はこうした状況を受け、決断を下した。

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