主張

ネットいじめ増加 陰湿な犯罪の温床絶とう

 全国の小中高校などで把握された、いじめが過去最多を更新した。とくにインターネット上の誹謗(ひぼう)、中傷といった、いじめの増加が顕著なことは看過できない。

 教師や親から見えにくいところでエスカレートしやすく、自殺など深刻な事態につながる例が起きている。陰湿な犯罪ともいえる行為だと厳しい認識を社会で共有し、対策を取りたい。

 文部科学省の問題行動・不登校調査で、平成29年度のいじめ認知件数は計約41万4千件に上った。小学校が約31万7千件で前年度より3割以上増えた。

 増加要因は「けんか」「ふざけ合い」など従来、いじめに計上されなかった軽微な例も報告されているためだ。25年にいじめ防止対策推進法が施行され、文科省はいじめを積極的に把握するよう求めている。見過ごさず早期対応に結びつけることが重要である。

 危惧されるのは、会員制交流サイト(SNS)などを通したネットいじめだ。調査で確認されただけでも、「パソコンや携帯などでの誹謗・中傷など」が1万2千件を超え、3年連続で増えている。「氷山の一角」である。

 ネットいじめは深刻化するケースが少なくない。28年に自殺した青森市立中学2年の女子生徒は、無料通信アプリなどで中傷を受けていた。

 非公式に学校の情報を書き込む「裏サイト」に関する文科省の過去の調査では、中高生で書き込んだことがある生徒は3%と少ない一方、閲覧経験のある生徒が20%以上と多い。そこではわいせつ表現や「殺す」など暴力をあおる書き込みも目立った。

 いじめ防止対策推進法でネット上の中傷もいじめと定義している。陰に隠れ悪口をはやしたてるのは卑怯(ひきょう)な違法行為だと、さまざまな機会を捉え教えるべきだ。

 サイトによっては、いじめなどに関する書き込みを非表示にする機能を導入する例もある。ネット関連の民間事業者も協力し、有効な手立てを取りたい。

 無料通信アプリの友達のグループから仲間外れにするなど陰湿な例も問題となっている。スマートフォンの急速な普及の中で学校と家庭の連携も必要だ。

 親は、子供たちのスマホなどの利用実態をどこまで知っているだろうか。持たせるなら使用ルールを決め、守らせるべきだ。