ただ、昨年時点で一部海外メディアでは、中国でシェアサイクルの自転車放置が社会問題化しており、業界の競争も激化していると報じられていた。ofoについても今年に入り、資金繰り悪化など「経営危機」が伝えられていた。
市はofoと協定を結ぶ際、市が管理態勢などを指導できる条項を入れていたが、経営状況までは確認できなかった。市幹部は経緯を振り返り、「(市として経営状況を)把握していなかったのではないか」と反省する。
■事業継続を模索
ofoは突然の撤退を決めたが、和歌山城をはじめ名勝・和歌の浦など市内33カ所の専用駐輪場に置かれている約120台の自転車の行方は、現時点では決まらないままだ。
この自転車の扱いをはじめ、撤退に伴う利用者への対応などについても市はofoと今後協議を進めていくが、指導する間もなく一方的に撤退通告されたことに、市幹部も「全くの想定外だった。本当に残念」と表情は険しい。
それでも市は、公共交通機関との併用や点在する観光地間の周遊手段としてシェアサイクル事業にかける期待は捨てておらず、今後も別の事業者を探すなどして事業継続の可能性を模索する方針。
ただ、すぐに代わりの事業者を見つけ出すのは難しい中、市幹部は「根本的に事業運営の方針を再検討したい」と話している。
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シェアサイクル 同じ場所で自転車を借りたり返したりするレンタサイクルと異なり、指定エリア内に複数の専用駐輪場があるため、どこでも借りたり返したりできる。大手のofoではスマートフォンの専用アプリを使い、搭乗可能な自転車や駐輪場所の検索、料金の支払いをする。自転車のQRコードをアプリで読み込めば、ロックが解除されて利用できる。