【サンパウロ=住井亨介】南米ブラジルの大統領選決選投票は28日、投開票が行われる。「ブラジルのトランプ」と呼ばれて高い支持率を維持する極右のジャイル・ボルソナロ下院議員(63)は、トランプ米大統領と同様ソーシャルメディアを駆使し、ポピュリスト(大衆迎合)的な過激発言で有権者の関心を集めてきた。先鋭化する攻撃に対立候補の左派、フェルナンド・アダジ元サンパウロ市長(55)が反撃を強めたことで選挙戦は「中傷合戦」と化し、政策論争がかすんでしまっている。
「汚職男の操り人形」。汚職事件で収監されたルラ元大統領の後継候補であるアダジ氏を、ボルソナロ氏はツイッターでこう攻撃した。選挙戦序盤で暴漢に刺されて入院したこともあり、運動をインターネット上の発信に重点を置く中でアダジ氏への批判を強めてきた。
調査会社ダタフォリャによる最新の世論調査(25日)によると、ボルソナロ氏の支持率は48%で、アダジ氏は38%。当初はボルソナロ氏の一方的な攻撃だったが、縮まらない差に業を煮やしたようにアダジ氏も応戦するようになった。
サンパウロに住むボルソナロ氏の支持者、ダルバ・フェヘイラさん(30)が「(書き込みの)全てを信じているわけではないが、ツイッターでのやり合いはお互いさまだ」と語るように、両候補の応酬は激化している。