次世代加速器の日本誘致求め「テキサス宣言」 物理学者の国際会議

 素粒子物理学の実験に使う次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」を岩手・宮城両県の北上山地に建設する構想を進めるため、米テキサス州で国際会議を開催している世界の物理学者の国際組織は26日、「実現に向けあらゆる努力をする強い決意を宣言する。日本政府の誘致の意思表示を待ち望む」などと訴える声明「テキサス宣言」を発表した。

 万物に重さを与える素粒子のヒッグス粒子を大量生産して特性を調べるILC構想は、主に日米欧が進めているが、欧州では来年初頭、素粒子物理学の研究計画の更新作業が始まる。構想実現には新計画にILC建設への協力が盛り込まれることが必須で、政府が年内に誘致の意思表示をしないと間に合わないという。

 構想の是非は現在、文部科学省の依頼を受け日本学術会議が検討中だが、総建設費が最大約8000億円と巨額なため「科学は物理学だけではない」などと厳しい意見が相次いでいる。

 国際組織は今年5月にも、日本政府に誘致を求める声明を発表しているが、最近の状況への危機感から改めて強い決意を表明。ILCを新たな革新的技術の源泉と位置づけ、「実現して研究が進めば、広く科学と社会に利益をもたらすイノベーション(技術革新)が生まれる」などと意義を強調した。

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