北上移民にメキシコ当局は静観 トランプ政権と次期政権で板挟み

 中米ホンジュラスなどから米国を目指して北上する移民集団について、メキシコ当局が、集団の動きを阻止するための強制的な措置を控えている。強い非難を続けるトランプ米大統領と移民に寛大な政策を示すメキシコの次期ロペスオブラドール政権双方への配慮から、当局は状況を静観しているもようだ。

 「法を守らない者はメキシコにとどまれないし、米国にも行き着けない」。ロイター通信によると、メキシコのペニャニエト大統領がこう語る一方で、警察当局が集団を阻止するかを記者会見で問われたナバレテ内相は明確な答えを避けた。

 警戒に当たっている連邦警察は強制力をほとんど行使しておらず、移民の集団は沿道の市民らから食料援助を受けながらほぼ自由に移動している。国内では人権的な対応を求める動きはあるものの、移民を拒否する世論は目立っていない。

 こうした状況を背景に、12月1日に新大統領に就任するロペスオブラドール氏は、中米諸国への援助金削減をちらつかせて集団の北上阻止を求めるトランプ氏に対し強気な姿勢を示す。

 地元の英字ネットメディア「メキシコ・ニュース・デーリー」によると、ロペスオブラドール氏は「(移民阻止という)一時的な対応は必要ない」と批判。米紙ワシントン・ポスト(電子版)によれば、エブラード次期外相も警察当局による阻止を「大きな過ち」と指摘した。

 だが、現政権は北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し合意で改善したばかりの米国との関係を維持したいのが本音で、当局の煮え切らない態度につながっているようだ。ただ、今後複数の大規模な集団がメキシコ国内に入れば、現在の方針を貫くのは難しくなる可能性もある。(ロサンゼルス 住井亨介)

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