安倍晋三首相は25日から訪中する。中国共産党の機関紙、人民日報傘下の環球時報は「改善しつつある中日関係をさらに前進させ、両国の最高指導者交流の正常化を意味する」と高く評価し、歓迎する意思を示した。
この新聞が5年ほど前、「安倍氏をブラックリストに入れて、入国禁止にすべきだ」との社説を載せていたことを思い出せば、隔世の感を覚える。ただ、この5年間、安倍政権の対中政策はほとんど変わっていない。にもかかわらず、中国当局と官製メディアの安倍氏への〝評価〟が百八十度変わったのはなぜか。
理由は簡単だ。米中貿易摩擦などにより、中国が国際社会おける孤立感を深めている。経済規模が世界で1位と3位の日米と同時に対立することを避けるため、習近平国家主席は「日本叩き」という政権の看板政策をおろした形だ。
中国メディアの報道によれば、中国は安倍首相への〝お土産〟として2羽のトキを用意した。肝心な問題を棚上げにして、珍しい動物を贈ることで外国の機嫌を取るのは常套手段だ。
中国と関係改善することに異論はないが、その前に、7年ぶりに中国を公式訪問する日本の首相として、習氏との会談で、言わなければならないことは最低でも三つある。