台湾・統一選あと1カ月 注目は台北市長の再選後?

13日、台北市内で、親民党の宋楚瑜主席(左)とともに同党の市議候補(中央)の応援に駆けつけた柯文哲市長(田中靖人撮影)
13日、台北市内で、親民党の宋楚瑜主席(左)とともに同党の市議候補(中央)の応援に駆けつけた柯文哲市長(田中靖人撮影)

 【台北=田中靖人】台湾の統一地方選は、11月24日の投開票まで1カ月となった。与党、民主進歩党は県・市長選で現有勢力を維持できるかどうか、微妙な情勢で、2020年の次期総統選での蔡英文総統の再選に影を落とす恐れもある。ただ、最大野党、中国国民党も支持は低迷。地元メディアの関心は人気の高い無所属の台北市長、柯文哲氏(59)が再選された場合、次期総統選に出馬するかどうかに集まっている。

 統一選は22県・市の首長や議会議員などが対象で、20年1月の次期総統選を占う。民進党は前回14年11月末の統一選で躍進し、16年の政権交代につなげた。

 だが、今回は蔡政権の支持率低迷などで、与党がもつ13県・市のうち、複数で苦戦が伝えられる。総統府高官は「地方選は地方選で20年の総統候補は100%、蔡氏だ」と予防線を張るが、人口の約7割を占める6直轄市のうち現有4の一つでも失えば、民進党主席も兼ねる蔡氏の責任論が噴出する可能性が高い。

 一方、「統一選は蔡政権への不信任投票だ」と与党側を攻撃する国民党も台所は苦しい。国民党が戦後接収した日本統治時代の資産返還を求め、蔡政権が設置した不当党産処理委員会が資産を差し押さえており、選挙資金不足は否めない。

 二大政党の対立に嫌気してか、台湾民意基金会の7月の世論調査で、民進党の支持率は25・2%、国民党は20・7%と低迷。無党派層は5割近くに達する。

 こうした中、無所属の柯台北市長に改めて注目が集まっている。外科医出身で「政治の素人」と呼ばれたが、前回の選挙で民進党の支持を受けながら、二大政党対立の解消を訴えて圧勝。失言と紙一重の直接的な物言いやネット多用型の発信で、若年層を中心に高い支持率を維持してきた。

 ただ柯氏は、姉妹都市の上海との交流で、中国の習近平国家主席が用いた「両岸(中台)は一つの家族」と同じ発言をした経緯があり、民進党は支持者の反発を受け、台北市長選に対立候補を擁立せざるを得なくなった。民進党関係者は柯氏の変節に「機会(日和見(ひよりみ))主義者だ」と嫌悪感を隠さない。

 柯氏の支持率は民進、国民両党の候補を上回る。総統選について柯氏は発言を避けているが、20日の出陣式では「台湾に正しい社会を打ち立てる」と訴えた。

 死角は支持組織がないことだ。柯氏は今回、小政党で反中派の「時代力量」と、親中派の親民党という対中姿勢が正反対の両党の市議候補と連携するなど、苦しい面も見え隠れする。

 柯氏の元側近は、「統一選で民進党への批判票がどの程度出るのかを見極めて(柯氏が次期総統選への)出馬を判断するのではないか」と話している。

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